2004年6月
    7月 »
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

アーカイブ

携帯からもチェック

低体温症(Hypothermia)

—屈斜路湖のカヌー転覆事故から学ぶ—
—犬の低体温症についての考察—

2003.06.06 “犬の低体温症についての考察”を加筆

2003年6月。北海道屈斜路湖においてカヌーが転覆し、2人の方が亡くなるという事故が発生した。
以下は新聞発表を元に事故を分析し、私なりの解釈を加えたものである。


新聞発表による当時の状況

—出艇時の状況—
・午前10時半ごろペンション経営者所有のカナディアンカヌー2艇と、他1艇(艇のタイプは不明。新聞発表ではカヌーという記述)で釣りのため出艇。
・乗員はPFD着用(ウエットスーツ、ドライスーツ等の装着は未確認)
・出発時は波も高くなかった。

—転覆時の状況—
・午後0時半ごろから急に湖上や湖の周辺に突風が吹く。(午後1時半ごろには、現場から約5キロ離れた川湯温泉街にある弟子屈消防署川湯支署で最大瞬間風速26メートルを観測)
・転覆は0時30分頃。転覆時、投げ出された4人はいずれもカヌーにしがみついていた

—救出時の状況—
・午後0時44分に転覆していない艇の人から携帯電話で119番通報
転覆から45分ほどたった午後1時15分ごろ、弟子屈消防署員が救助に駆けつけ、意識を失ってカヌーから手を放し湖面に漂う三人を次々に救助ボートに引き揚げ、最後にカヌーにしがみついていた一名を救出。
弟子屈消防署によると救出時の水温は10度。
2人死亡、1人重体。1人は命に別状はなし。

—私見—
ポイントは10度という水温と、各自の装備、救出までの45分という時間である。
今回の事故では乗員がドライスーツ、ウエットスーツ等を着用していたという記述を新聞記事に見つけることは出来なかったが、仮にこのような装備なく10度の水温下に落ちたとなると低体温症によって10分程度で体の自由は効かなくなり、セルフレスキューに長けた人間であっても短時間での再乗艇は非常に困難な状況になると思われる。

今回の事故で気になっているのは、死亡2名、重体1名の中、命に別状無しと判断された乗員がいたことである。
同ー環境で装備が変わらなかった場合、これほどの差が起きるとは考えにくい。命に別状無しとされた乗員はドライスーツ、ウエットスーツ等、何らかの保温装備をしていたのではないだろうかと考える。

ドライスーツ、ウエットスーツ共、着用時の各水温における保温状況に関して詳細なデーターを持ち合わせていないが、カヌーをはじめた頃11月の長瀞で、素肌に当たる水の冷たさ。水にさらしあっという間に足首が動きにくくなった経験がある。その後ネオプレーンのソックスなどを購入し、その効果に驚いた。
体が冷えれば動きにくくなり、冷静な状況判断が出来なくなる。結果最悪の状況に陥る可能性が高くなる。

川でも湖でも、水中において体温の低下は驚くべきスピードで進行する。
無理をせず、万全の装備でセーフティマージンを整え、楽しくカヌーを楽しみたい。

2003.06.06追記

犬の低体温症についての考察

犬も人と同じ恒温動物です。ということは、犬に対しても人間と同じく低体温症に対しての知識が当てはまるのではないかと考えます。
実際、北海道などでは犬の低体温症は決して珍しい事例ではないようです。
そこで、これまで僕達が経験した事例を元に低体温症への対処を考えてみたいと思います。

今まで経験した症状
・震え
・貧血のような症状。(内目蓋が白くなる等)

当時の状況
5月、静岡県の気田川でダウンリバー中。
沈をし、パセリ、ポプラ共PFD装着のまま川に落ちる。
外気温は20度以上(正確ではありません。体感温度です。人間は半袖でも大丈夫な気温でした)
当時パセリ5才、ポプラ6ヶ月。パセリはダウンリバー中2回落ちました。ポプラは1回。濡れた体をタオルで拭きましたが、ポプラのほうが症状は重く、尻尾は下がり、動作は鈍く、キャンプサイトに着くまで震えはなかなか止まりませんでした。
この状態は人間でいうところの、初期~中期の低体温症の状態と思われます。

犬は体毛がありますので、少々の雨、風からは体を守ります。
しかし一端完全に濡れてしまうと、その体毛によって乾くまで時間がかかります。つまり乾く間気化熱によって常に体温を奪われる状態にあるということです。
体毛を考えると、ダブルコートの犬種のほうがシングルコートの犬種に比べ乾きにくいと言えるでしょう。(ちなみにパセリ&ポプラ(ミニチュアシュナウザー)はダブルコートです)

これに対する対処としては、吸湿力の高いタオルなどで水分を少しでも取り去り、乾いたタオル、毛布などで体を包み体温の低下を防ぐということでしょうか。場合によっては毛布などにホッカイロなどを張ることも効果的かと思います。
データはありませんが、人間よりも絶対面積の狭い小型犬は、人間に比べて特に体温の低下が激しいと思います。肉を冷蔵庫で冷やす場合、大きな塊より、小さな塊のほうが早く冷えるのと同じ理屈です。

愛犬とのダウンリバーの際には、是非ドライバックなどにタオルを少し多めに持っていくと良いのではないかと思います。

この記事は僕達のこれまでの経験に元づいてのみ書いています。僕は獣医学に対して正確な知識を学んだわけではありませんので、対処に関しては個人の判断でお願い致します。(2003年6月)

これは囲炉裏に掲載していたものを2004/6/27に移動しました

現在、このエントリではコメントを受け付けていません。